2017年も飛ぶように過ぎまして大晦日です。
年内最後なので、個別のレビューを書けなかった「今年買ってよかったもの」について。
SOQQU 「モイスチャー リッチ リップスティック」
洋服に比べるとコスメへの情熱は薄め、といいますか人間の興味と予算のキャパシティは有限という意味合いの中で割り振りが少なくなった結果、30代半ばで依然疎いジャンルなわけです。
しかしながら、職場で何気なくめくっていた雑誌の広告を見た瞬間、珍しく「これはよい欲しい買わねば」となりまして、しばしの逡巡ののち購入と相成りました。色は10番の焦紅(KOGAREAKA)、17FWモデルビジュアルに使われていたもの。我ながらチョロい消費者だな。
しばしの逡巡とは何かと言いますと、単に金額的な問題です。高いわと。今まで5,000円クラスの口紅を買ったことがなかったんですよ。現在のメイン口紅はETVOSで、めちゃくちゃ唇が荒れやすいために長く口紅界を放浪し、試した中では最も荒れにくかったという理由によって採用しました。これはこれで重宝していて、プラス2,000円の違いが果たして感じられるのかと。そういえば昔、「シャネルとブルジョワのチークの中身はほぼ同じ」なんて都市伝説がありましたけど、あれ本当だったんでしょうか。懐かしい。
で、使ってみた感想ですが、確かに違いはありました。何というか、テクスチャが粘着質というか、「唇にしっかりへばりつきますよ」という強い意思が感じられる。この価格帯の特徴なのか、SUQQUの特徴なのかまではデータがなくてわからないんですけど、密着感があってつけ心地はとてもよいです。あと乾燥もしにくい。すばらすばら。
色は想像よりずっと薄づきでした。広告みたいな発色にするには地色をきっちり消して、重ね塗りしないとだめかと。でも色味はきれいです。渋すぎず、派手すぎず、絶妙な赤リップ。30代になると真っ赤なリップには躊躇があり、かといってダークな色味は老けて見えたりするものですが、そういう意味でもちょうどよくて、「ありそうでない」感じの色なんじゃないでしょうか。焦紅という名前の通り黄味がかった色味なので、イエローベースの人におすすめ。
これからも高い口紅を買うかどうかは要検討ですが、とりあえず満足しています。甘さのない、スクエアのパッケージもいいですね。そういえばETVOSもスクエアだな。コスメは装飾の少ない、シャープでミニマルな外観のものが好きです。
VASIC 「GENTEE」
夏にMARKET MINIを買って、あまりにも理想的な素材だったので、他の形の展開を見ていたところ目に留まったのがアーカイブにあったGENTEEです。
MARKET MINI同様、シンプルながら強さのあるフォルムは好みですが、荷物多い妖怪としてはサイズが気になるところ。参考に、手持ちしているところの画像がないかと色々見ていたらミモレ編集長のスタイリスト、大草直子さんに行き当たりました。どうやらヴァジック自体、この方の紹介で人気が出たようです。スタイリスト、強いですねえ。
で、見た感じではギリギリいけそうな感じがする。なかなかいいお値段なので、まあ見るだけでもと思ってサーチしていたものの全然ない。ことごとく売っていた「跡地」。それもそのはず、GENTEEは16SS、つまり去年の商品なのです。売っているとすればキャリーかユーズド、というわけでヤフオクとメルカリでも検索をかけましたが、ないんだこれが。
ないとわかると俄然欲しくなるのが人間というやつです。愚かしいですね。とにかく検索あるのみ、数日間舐めるように執念深くサーチを続けた結果、サンフランシスコのセレクトショップに在庫があるのを発見しました。しかも70%OFF。買えるんじゃないかこれ。
お店のガイドを見るとインターナショナルシッピングOK、「country」プルダウンにJAPANの存在を確認し、不得手な英語での入力をなんとかやり終え、ワクワクしながら購入ボタンを押したところ「そこには送ってないんや、すまんやで」のポップアップが出て全てが無に帰し、盛大に脱力しました。あの…インターナショナルとは…。
そんなわけで直接購入を諦め、転送サービスをお願いして無事に日本にやってきたのです。ようこそようこそ、君かわいいね、うっすらかぶった埃もチャーミング!(拭きながら)
私の手持ちと比較すると小型のバッグでしたが、夏の終わりから秋にかけて、随分活躍してくれました。小さいバッグはスタイリングに軽さが出ていいですね。そもそも小さいとはいえ、日傘も入るしペットボトルも入る。しかし余計なものは全く入らないので、これが私の使える「最小サイズ」のようです。
ANYA HINDMARCH 「Wink Compact Wallet」
ここ数年ずっと、財布を買い換えたいと思っていたのです。前の財布は6、7年ほど使っていたでしょうか。プリントレザーが退色して、ヴィンテージ感では済まされない何かが漂っていたものの、使い勝手がよかったのと次がなかなか見つからないために、そのまま継続使用していました。
二つ折り派のみなさんにはご同意いただけるかと思うのですが、本当にバリエーションが少ない。大人しく長財布にすればいいのに、なぜか財布は二つ折りが好きなんですよね。バッグは大きいだけに自分でも謎なんですけど、おそらく手のひらにすっぽり収まる感じや、機能性がコンパクトに詰まっているところにグッとくるんじゃなかろうか。
さてアニヤさんです。今回検討した中では、最も理想に近い形だったので、それが決め手になりました。付き合いが長いブランドなので、ちょっとホーム感がある。昔のお上品なアニヤさんも、今のキャッチーバリバリ路線のアニヤさんも両方好きです。
札入れと小銭入れが別になっているところ、タブなど余計な装飾がないところがよろしい。札入れはだいぶ深め。カードポケットがちょっとゆるいのはご愛嬌。何より、パチンとウィンクするスマイリーがかわいいです。パンチングのスマイリーは単色なぶん大人っぽい雰囲気で、やや物足りないような気がして各方面に意見を求めたところ、大方「そろそろ落ち着いてもいいんじゃないか」とのご回答でしたので、一旦ありがたく受け止めました。落ち着きとは。
ところでこのスマイル、パンチングの下に反射する何かがあって、たまにぴかっと光ります。使い始めの頃、暗がりでバッグを開いたら中で顔だけが発光していたのでびっくりしました。
スムースレザーなので傷はつきやすいです。使っている最中よりは、バッグに手を突っ込んだ時に爪でガリっとなることが多い(※注意力不足)。最初はこわごわやっていましたが諦めました。手入れをきちんとすれば目立たなくなるとわかったので、そちらを頑張ろうと思います…。
今公式サイトを見たら、17FWはゴールドが出てるんですね。いいなあ。
トリニティ 「NuAns NEO [Reloaded]」
長くauを使ってきた大きな理由のひとつにデザインケータイの存在があり、ずっとスペックは二の次、見た目重視で通信機器を選んできました。スマートフォンになってからもそのスタンスは継続され、INFOBARを愛用すること6年。シリーズ3代目のA03も2年経ち、後継は出るのか出ないのかと気を揉んでいた今年の春先、デザインスマホを作っていた「Original Product」が知らぬ間に「Product Archives」に移行し、ひっそりと死を迎えるという事件が起こりましてですね。
「お別れもなく行っちまうのかよぉ…」という感傷と同時に、長年このプロジェクトを支持してきたユーザーに対してあんまりじゃないかという怒りがふつふつと湧きました。「MacユーザーなのにどうしてiPhoneにしないんだ」と数え切れないほど問われ、その度にINFOBARの美しさをこんこんと説いてきたのにこの仕打ち。新たなデザインスマホを探し、ついでにauとも別れる決意をぐぐっと固めたのです。
しかし、スマホ探しは難航しました。探せば探すほど、INFOBARの特殊な立ち位置が鮮明になるという皮肉。大人しくiPhoneにすべきなのか…という妥協が脳内をかすめ始めた矢先、発売されたのがNuAns NEO [Reloaded]です。
本体は無骨さを感じるブラックボディ。サイドのカーブが手馴染みよく、心地よい重さと厚みがあります。最大の魅力はツートーンのカバーシステム。カバーなしでは使えない仕様なので、もはや本体の一部と言うべきですね。素材と色が豊富に揃った上下のカバーを自由に組み合わせてつけられます。公式サイトにシュミレーションもあって楽しい。画像はSMOOTH BLACK×DARK WOODで、いくつか買ってみた中では1番しっくりきています。イームズのラウンジチェアっぽさがあるようなないような。
スペックはあまり気にしていない、というより良し悪しがわかるほど詳しくないと言ったほうが正確ですが、バッテリーが強いらしく充電の持ちが大変よろしいです。すばらすばら。やや困っているとすればカメラで、風景はきれいに写るものの、暗めの室内で料理を撮ったりするのは苦手らしくピントがなかなか合わない。ブログを始めていなければ問題なかったことなんですけど。
あ、そうそう、純正のフィルムには問題があります。怨嗟のような低評価のAmazonレビュー中、たまに混じっている「うまくいきました報告」に賭けて買ってみたもののやはりだめでした。曲面ガラスに貼れるよう、柔らかくて薄いフィルムなのですが、めちゃくちゃ気をつけても気泡なしでは貼れないうえ、気泡を出すべく擦ったあとがくっきり残るという謎仕様。おまけに半月ほどで剥がれてきたので、やむなく別メーカーのフィルムに貼り替えました。しかしながら、新しいものは画面より小さいために「乗ってる感」が強く、デザインの美しさが損なわれてこれはこれでイマイチです。どうしたらいいんだ。
その他のアクセサリー(地味に充電ケーブルに高級感があってよい)やパッケージ(本体を模した形で出したあとは貯金箱になる謎ほっこり仕様)は最高なので、フィルムの改善を伏してお願いしたいところ。
と、細かいところは色々あれど、NuAns NEO [Reloaded]が大変美しい道具だということに間違いはないのです。デザインスマホをお探しの方には全力でおすすめ。
オニツカタイガー 「MEXICO 66」
長年の紐靴嫌いでスニーカーの類はジムでしか履いたことがなかったのですが、昨年冬に寒さに負けてSORELを導入してからというもの好き嫌いの境界があやふやになってまいりまして、ついに普通のスニーカーを買うに至りました。歳をとると色んなことがいい加減になって、人間としてのソリッド感を失う代わりに生きやすくなります。よいですね。
前述のような経験値からスニーカーの知識がほぼなく、完全にビジュアルで選びました。ゴールド×ブラックの組み合わせは永遠に好きなのではないだろうか。シュッと細身でレザー製、いかにもタウン用の顔をしているところも気に入りました。バリバリにスポーティーなものは、もうちょっと修行を積まないと無理だろうという。
薄底が特徴とのことで、履き心地は大変に軽く快適です。いつも重い靴履いてんだなーと気付かされる感じ。黒のワントーンでもこれを履いとけばちょっと明るい雰囲気になるので、コーディネート的にもありがたい。難を言うならフルレングスのワイドパンツやマキシスカートに合わせると、後ろについてるベロみたいなもの(ヒールフラップというそうです)がめくれてしまうので、スリムタイプか丈短めのボトムと合わせないといけない制約がある、あたりでしょうか。
足が痛い状態に対する耐性がなくなりつつある今日この頃、これを皮切りにスニーカーが増えそうな予感。次買うなら黒かシルバーあたりがいいかなと思っております。
以上、2017年の買ってよかったものレビューでした。ブログを始めて数ヶ月、お読みいただきありがとうございました。
来年もたくさん、よいデザインに出会えますように。