こんにちは。シュトレンの妖怪です。
クリスマスどころか年が明け、早くも1月が終わろうかというところですが、2018年の「シュトレン備忘録」をお届けします。順番に食べているので完食までは随時更新。今年もすべて購入から2週間は寝かしております。おそらく2月いっぱいかかると思いますので、気長にお付き合いいただければこれ幸い。
昨年の分はこちらです。
京都のおいしいシュトーレン
パティスリー タツヒトサトイ @北白川
京都におけるパン屋密集地帯のひとつ、「今出川パンベルト」こと今出川通に面した洋菓子店。2016年オープンの比較的新しいお店です。京都駅の地下街「ポルタ」にも支店があり、アクセスしやすいのはこちらですかね。本店はブーランジェリー&イートイン併設、夏場はかき氷も出されるとのこと。多才。
今回は本店にて購入。年末にポルタ店に寄ったらまだ売っていたんですが、ギフトボックス入りで2,200円(税込)でした。お持たせにはこちらをどうぞ。
「シュトーレン 」
価格:1,850円(税込)
長さ×幅×高さ:12×7.5×5.5cm
スクエア型のシュトレンです。なんとなくですが、パティスリーのシュトレンはスクエアが多いような気がする。
で、このコーティングの美しさよ。粉糖がみっちりと固まってクリームのように見えますね。切ってもほとんど崩れないのに、口に入れるとさらっとなくなる。
マジパンありますね。ドライフルーツは赤ワイン漬けで、いちじく、レーズン、クランベリー、レモン、オレンジ…とのことですが、断然いちじくが強い。生地はさくっとしつつほろっと崩れて、そこにいちじくの種のぷちぷちが加わります。うまい。
砂糖みっちりなので甘め。苦いコーヒーが合います。
Pâtisserie TATSUHITO SATOI
https://www.instagram.com/patisserie_tatsuhitosatoi/
マールブランシュ @北山
観光でお越しになる方にはもっぱら「お抹茶ラングドシャの店」として認知されているマールブランシュ先生ですが、地元民的にはとにかくモンブランの店、春はさくらモンブラン、夏はモンブランかき氷、秋はもちろんモンブラン、クリスマスもモンブラン…といった調子で一年中モンブランを推しているモンブラン教の総本山なのです。
ちなみに断じてdisではない。モンブランは最高…最も高い山…(※教徒)
というわけでもちろんシュトレンもモンブラン。初出は意外にも2017年、「満を持して」という感じでしょうか。北山本店のみの販売、予約も店頭のみ受付。限定とはいえ割と個数は作っておられるようなので、直接店頭チャレンジでも大丈夫かと思います。
「モンブランシュトーレン」
価格:2,160円(税込)
長さ×幅×高さ:17×10×4cm
モンブランに見立てた装飾はヘーゼルナッツのチョコレート。渋皮栗の甘露煮とくるみを練りこんだ生地に、ラム酒がぷんと香るモンブランクリーム。このクリーム、端までみっちり詰まっていてポイントが高い。
砂糖がけは薄めですが、栗が甘いのでしっかり甘い。生地はしっとり柔らかめ、スパイスなしなので苦手な方も食べやすいかと。思った以上に栗感があって大変満足しました。モンブランは偉大なり。
MALEBRANCHE
http://www.malebranche.co.jp/
喫茶とパン do. @北白川
PAINLOT主催の「シュトーレン博覧会」にて購入。場所は東急ハンズ京都店、今年2年目のイベントですが格段にパワーアップしておられました。物量が全然違う。ありがたや。3回入荷があって3回行ったものの、盛況のようで色々と買い逃したり。来年も楽しみです。
お店は銀閣寺道近くのベーカリーカフェ。パンの販売&イートインはもちろん、モーニング&ランチもいただけるとのこと。バゲットサンドがめちゃくちゃおいしそうなので食べたい。
「たっぷりフルーツとナッツのシュトーレン」
価格:2,250円(税込)
長さ×幅×高さ:17×9.5×5cm
まずパッケージがかわいい。ハンズの売場でもすべて柄が違ったので選ぶのに時間がかかりました。つい人にあげたくなるパッケージです。よいですね。
「たっぷりフルーツ」の名の通りドライフルーツはなんと9種類、定番のレーズンやオレンジの他、マンゴーやパイン、クランベリーなども入っています。細かいカットなので、ひとつひとつが強く主張するわけではないのですけど、時折爽やかな酸味を感じる。スパイスの香りもします。ナッツはスライスアーモンドとくるみ。ナッツもラム酒漬けだそうで、しっとりした食感に仕上がっています。
実は切った瞬間、「ちょっと地味かな」と思ったんですよ。食べた瞬間も「ちょっと地味かな」と思ったんですよ。しかしながら、もう一切れ、さらに一切れ…とどんどん食べてしまう。全然地味じゃなかったわ。前ふたつが変わり種で麻痺してただけだったわ。よい意味で人を選ばず、王道で、しみじみおいしいシュトレンです。大変失礼しました。
喫茶とパン do.
https://www.instagram.com/kissatopando/
ぱんのちはれ @一乗寺
こちらも「シュトーレン博覧会」にて得た1本。年末に付箋アワードでアルザスを再訪した際、こちらのお店にも伺ったのですが、プレーンと抹茶のシュトレンも扱っておられました。カウンター式の陳列にぎっしりパンが並んでいて楽しい。「エンゼルナッツ」という大きな三角のピーナツ入りパンがあり、いつもつい買ってしまい、大きいのにペロンと食べてしまいます。こわい。
ラッピングの毛糸リボンは同じ一乗寺の「AVRIL pepin」で選んでおられるとのこと。一乗寺コミュニティ。いいですね。
「ショコラシュトーレン日本酒入り」
価格:1,188円(税込)
長さ×幅×高さ:13×7×4.5cm
2018年のシュト博は日本酒や麹を使ったシュトレンが多数集められていまして、そのうちのひとつです。レーズンが日本酒漬け込み仕様。お酒の香りはほんのりしますが、ラム酒漬けのものに比べるとやさしい匂いです。
ココア生地にクーベルチュールを練りこんであり、しっかりと濃いチョコ味。マジパンもキャラメルっぽいコクがあっておいしい。小ぶりで食べきりやすいので、色々トライしたい人にもおすすめです。
pan nochi hare
https://www.instagram.com/pan_nochi/
ひつじ @丸太町
個人的な思い入れにより話がやや長くなるのをお許しください。
かつて荒神口に「hohoemi」という、京都で最も愛していたパン屋がありまして。およそ観光地とは言い難い場所にもかかわらず、ガイドブック片手に観光客の方もいらっしゃるような人気店だったんですけども。
ある日お店の前に「パン屋やめて前からやりたかったドーナツ屋やりますねん」という旨の貼り紙がされており、絶頂期に突然引退するアイドルのファンのような気持ちを味わい、しばらくhohoemiロスによってパンへの興味を失っていた時期があるのですが、そのドーナツ屋こそがこの「ひつじ」でございます。
京都で最も愛していたパン屋の閉店はすなわち、京都で最も愛していたシュトレンの喪失を意味しており、「hohoemiのシュトレンもっかい食べたいなあ」と思い続けること6年、何気なくひつじのfacebookを見ていたところ、シュトレンを!売っているじゃありませんか!!ヒュー!!!
お店に伺った際、hohoemi時代の看板商品「キャラメルラスク」が受け継がれていて嬉しかったのですが、まさかシュトレンまでやっておられたとは…全然知りませんでした。迂闊。
肝心のドーナツも大変おいしいです。が、ふわふわもっちりタイプの生地なので、どっしり重たいドーナツ派の私にはちょっとだけ物足りない。ふわふわもっちり派は行きましょう。ついでにラスク買ってくれ。うまいから。
ちなみにhohoemi跡地は紆余曲折を経て現在「LAND」というパン屋になっており、こちらもよいお店です。スコーンがでっかくて愛。
「シュトーレン」
価格:1,404円(税込)
長さ×幅×高さ:13×7×4cm
柔らかな生成り色のシュトレン。和三盆でしょうかね。やったね。ラップを外せばパッと広がる、華やかなスパイスの香り。ラム酒漬けのレーズンとアーモンド、くるみ、マガダミアナッツがぎっしりと入っています。
小ぶりながら持つとずっしり重い。重さが全てじゃないけれど、重たいシュトレンよいシュトレン。
生地はほろほろ系です。熟成によってぐっとまとまり、一体となった生地と具材、コクのある味わい、和三盆のまろやかな甘み。すべてが調和して、しみじみうまい。
hohoemiシュトレンと比べてどうかと言えば、記憶がおぼろげなのを差し引いても、いい意味で別物。完全なる進化系です。買うときに製造日を教えてくださるので、半月はのんびり寝かすとよいでしょう。うまさが倍になることでしょう。
ひつじ
https://www.facebook.com/361742430621952/
アペリラ @出町柳
ここ数年、私がシュトレン妖怪であるという認識が身近な人々に周知され、シュトレン目撃情報を多数いただくほか、「今パン屋にいるが買っておいてやろうか」という親切きわまる申し出などもあり、このシュトレンもそのようにしてやってきました。アキ嬢ありがとうありがとう。
卵やバターを使わない、ヴィーガンのベーカリー&カフェ。ヴィーガン、おまけに天然酵母とくればちょっと身構えてしまう私ですが、アキ嬢によればカフェは居心地よくお店の方は親切、パンはちょっと高めながらどれもおいしいそうなので今年はお伺いしてみたい。ちなみに彼女はいちじく妖怪で、おすすめは「いちじくのパン」だそうです。
「チョコチップシュトレン」
価格:2,100円(税込)
長さ×幅×高さ:16×9.5×3.5cm
ベーシックなアペリラシュトレン、スパイスチャイ、チョコチップというラインナップ。私はチョコチップをお願いしました。
平たくどっしりした形のシュトレンです。周りの砂糖は種子島産の粗糖、バターの代わりに菜種油を使っておられるとのこと。大きく柔らかなチョコチップ、レーズン、レモンピール。硬めの生地をぐぐっと切ると、柑橘がパッと香ります。
バターの風味こそしませんが、コクのある深い味わい。添付の説明によれば「酵母のちから」による旨味とのことです。やるなあ酵母。ありがとう酵母。
スパイス控えめで、ほんのり酸味を感じる爽やかな後味。生地の風味を楽しむタイプのシュトレンですね。多分ね。わかった風に言ってごめんね。しかしながら、小麦粉の違いなど判別できない私のぼんやり舌でもおいしいことはわかります。バターと白砂糖による、どっしりした重みが苦手な方にもおすすめ。
‘apelila
https://www.facebook.com/Aperiraapelila
ラ ポルト ドゥ シエル ブルー @北山
北山駅から上ること5分、ちょっと奥まったところにある、青いファサードのパティスリーです。マールブランシュからも近いので、北山にお越しの際はツアーされてもよろしいかと。次の予定があったので生ケーキ類は断念しましたが、上品な佇まいのモンブラン様が鎮座されていてグッときました(教徒)。
「シュトーレン・キャレ」
価格:1,000円(税込)
長さ×幅×高さ:5.5×5.5×5.5cm
バターケーキタイプのシュトレン。ベーシックなシュトレンもありましたが、洋菓子店ならではのこちらを選びました。バターケーキタイプのシュトレンとは何か、定義は謎ですがフランス系のパティスリーにしばしば存在している印象。「キャレ」はフランス語で四角のことだそうで、その名の通りころんとかわいいキューブ型のシュトレンです。
とにかく食感が個性的。うまく表現できないのですが、きめの細かいスポンジをぐーっと圧縮した感じ。あえて近い食感を挙げるとするなら伊達巻かなあ。お正月に食べたからって、いささか安直さが否めませんけども。
スパイスはシナモンとカルダモン。キルシュ漬けのチェリーが入った、甘さ控えめな大人のシュトレン。家人が一口食べるなり「高いお菓子だ…」と呟いていました。身も蓋もないですがまさにそれ。隣にはシャンパンがお似合いです。オシャンティ!
La Porte du Ciel Bleu
http://www.l-cielbleu.com/
ル・プチメック @烏丸四条
泣く子も黙る「京都のパリ」ことル・プチメックです。本家今出川の「赤メック」、御池の2号店「黒メック」のほか、西洞院六角の工場併設売店「OMAKE」と大丸京都店のインショップの4店舗。東京にも出店しておられますが、シュトレンは京都のお店でのみ販売されているようです。
今回は大丸京都店での購入。ハード系が代名詞の本家とは異なり、こちらはドーナツ&ベーグルがメインのお店。アクセスがよいのでついつい寄ってしまうんだよな。
「シュトーレン」
価格:1,836円(税込)
長さ×幅×高さ:15.5×9×5.5cm
スパイスの香りはやや強め、バニラ・フレーバーの洋酒に漬け込まれたドライフルーツはぐっと甘め。定番のレーズンのほか、りんごやいちじくが入っています。ナッツはくるみですね。生地は茶色く、中心はややパサっとした食感ですが全く気になりません。むしろ形といい味といい、これぞシュトレンという感じ。おいしい。
シュトレンがなかなか市民権を得られなかったのは、この「生地パサパサ」によるところが大きいと思うんですけど、今では多くのシュトレンが見事に「生地しっとり」にローカライズされてまして、オーソドックスなやつは少なくなっているように感じます。もちろん日本仕様のシュトレンも好きなんですが、やっぱり王道も食べたい。そういう人は買いましょう。
Le Petitmec 大丸京都店
http://lepetitmec.com/
HANAKAGO @烏丸御池
祇園祭の山鉾のひとつ、鯉山が鎮座する鉾町のパン屋ですが、ここも「京都のパリ」なんじゃないでしょうか。パリ行ったことないけど。入口が奥まっているので、看板を見落とさないようにお気をつけください。
多くのレストランに卸されているということもあってハード系中心。バゲットはもちろん、焼き色強めのクロワッサン、ワインにやたら合う惣菜パンもおいしい。シェフは元々パティシエなのだそうで、焼き菓子も充実しています。
上:「赤ワインいちじくのシュトーレン」
下:「リンゴと紅茶のシュトーレン」
価格:各2,268円(税込)
長さ×幅×高さ:14×7×3.5cm
シンプルで美しい箱入り。定番の2種、選びきれずに両方得ました。コーティングは細かめのグラニュー糖、成形も美しく、上品な佇まいのシュトレンです。
「赤ワインいちじくのシュトーレン」の方からいただきましょう。ラップを外すとふわっと広がるバターの香り。外はさくっと、中はしっとりした絶妙な生地。まるでパイやデニッシュのように、細かく重なった層が見えます。
フルーツは赤ワインコンポートのいちぢくとクランベリー、ナッツはくるみとピスタチオ。ごろっと大粒のいちぢくは食べ応えがあり、クランベリーの酸味がきゅっと全体を引き締めています。おいしい。
「リンゴと紅茶のシュトーレン」は開けると紅茶のいい匂い。生地にはもちろん、コーティングの砂糖にも細かく茶葉が散っています。スパイスはなし。「赤ワインいちぢく」同様しっとり油分多めの生地に、りんごのコンポートとスライスアーモンドがぎっしり。こちらもおいしい。
定番に加えて毎年新しい味のシュトレンが登場するほか、2月にはバレンタイン用の「チョコレートシュトーレン」も。シェフおひとりで作られているので、予約がおすすめです。
HANAKAGO
https://www.facebook.com/837520026361946/
はちはち @下鴨
下鴨神社から北に歩くこと5分ほど、住宅街にあるドイツパン中心のお店。地図を頼りに路地に入ればありましたありました。濃い紫の暖簾、趣のある植栽。非常に渋い店構えです。素敵。引き戸をからからと開けてお邪魔します。
どっしり重そうなライ麦パンや、素朴で大きいカンパーニュなどがゆったりと並んでいます。そしてお店も渋いが店主も渋い。まさに燻し銀。無口な方かと思いきや、非常に丁寧に、食べごろや保管方法について説明してくださいます。
「シュトーレン」
価格:失念しました、3,000円くらいだったと思います
長さ×幅×高さ:23×10×5.5cm
アルミホイルに包まれた、大きなシュトレン。生地は褐色で、少し酸味を感じます。スパイスは強めですが、オレンジの香りも印象的。
トッピングにアーモンド、中にはくるみ、レーズン、オレンジ&レモンピール。真ん中にたっぷりのマジパン。このマジパンがすごくおいしい。原材料表示に「シチリア産最高級アーモンド」と記載されるだけのことはあります。おそるべしシチリア産最高級アーモンド。
ぎゅっとまとまりつつもあっさりしていて、どんどん食べられる。大きいのにペロッと完食してしまい、呆然とする脳裏に、ほほえむ店主のセリフが蘇ります。
「かなり長持ちするんだけど、食べちゃうと思います、なぜならおいしいから…」
11月中に完売してしまうので、FAXかメールで予約しましょう。予約開始日はお店のツイッターにてお知らせがあります。通販も可。店主おひとりで切り盛りされているので、お返事はのんびり待ちましょう。
はちはち
http://hachihachi.org/index.html
以上、2018年の京都のおいしいシュトレンでした。最終的には15個食べて、うち11個をご紹介できました。さすがにペースがハイすぎ、趣味を超えて狩猟と化していたので、2019年はもう少しのんびりやろうと思います。