7月の付箋の会報告をします。
付箋についてはこちら。
前回の報告はこちら。
7月の京都といえば祇園祭です。1ヶ月の間、八坂神社を中心に何かしらが行われている長いお祭りですが、全国的に知られているのは中旬にある「山鉾巡行」というやつですね。
露店が出る前祭の宵山はとんでもない混雑なので、私としては例年、極力河原町方面への外出を控える、むしろ外出自体を控えるという方針で挑んでいるのですが、今年はうっかり付箋を宵山真っ只中の日程に入れてしまう痛恨のミスをやらかしました。
日本三大祭といえども鉾町の人間でもなければ普段は忘れておりまして、そんなダメ市民のために祭が近づいてくると、駅だの通りだのから「コンチキチン」と呼ばれる祇園囃子が流されてリマインドが行われるのですが、予定を決めた前月にはまだ忘却の彼方、7月に入ってから一気に思い出して時すでにお寿司な次第でございます。
余談ですが、14日から16日までをまとめて「宵山」と呼ぶのが正解で、「宵々山」「宵々々山」などと言われているのはあくまで俗称、「クリスマスイブイブ」と同じ類らしく、祇園祭原理主義者の前でうっかり使うと渋い顔をされますのでご注意ください。
常々ひとに京都にくるようすすめておきながらこの体たらく、完全な言い訳ですが、祇園祭は好きなんですよ。夜の宵山の風情、通りごとに提灯を掲げた山鉾が並び、「ちまきどうですか〜」の掛け声やお囃子が飛び交い、湿った空気の中をゆっくりと歩く浴衣の人々、ざわざわと賑やかなあの雰囲気は確かに「よいもの」として記憶されているんですけど、なにせ人混みへの耐性が年々目減りしているうえ、このところの京都はなんせ暑い。めちゃくちゃ暑い。夜になっても暑い。
ゆえに近年の祇園祭は「若さ」「勇気」「体力」のうち少なくとも2つがなければ生還が危ぶまれるハードモードなイベントと化しており、全てを持たない我々は大人しく迂回し、地下鉄烏丸線の北の果て、国際会館駅に集合したわけです。
市内中心部で夏最大の祭が行われているとは思えない穏やかな人出の駅を抜けるべく、地上へと通じる出口を見上げればそこには完全なる夏が待ち構えており、駅構内で回復した気力が一瞬で蒸発するであろうという予感に折れつつ、よくわからない気合いを入れながら外に出て即、日傘を差しました。
ところで付箋のオシャンティ番長であるところのアキ嬢はなぜか日傘を心底嫌っており、私とエヌ氏による再三のリコメンドにも全く応じることなく、この日もジャケットを頭から被って謎の民族と化しつつ歩いておられたことをここに記します。オシャンティとは一種の頑固さのことだと思う。
秘密基地植物園とカフェバー @国際会館
最初の目的地は謎につつまれたカフェ、秘密基地植物園です。2番出口を出て宝ヶ池通を直進、川を越え、世界思想社を越え、10分はかからないくらいの距離。途中に「日本一メニューの多い王将」こと王将宝ヶ池店を見つけて「餃子」「ビール」と呟くbotと化し、目的を見失いかけて歩みの遅くなったエヌ氏をせっつき、さらに直進します。
住宅街に突如現れるグリーンだらけのスペース。一見してお店なのか家なのかわからない。前情報なくここに入れる人はかなりの強者ではなかろうか。入口がわからず周囲をうろうろすることしばし、どうやらビニールカーテンがそれらしいと判明して、ようやく入店に成功しました。
おお。
おおお。
アンティークっぽいバラバラのソファとテーブル、天井という天井からぶら下がったドライフラワー、所狭しと置かれた鉢植えと生物&鉱物標本の類。
ひんやりとして薄暗いと言ってもいい店内ですが、外の強烈な日差しがグリーンによって柔らかく変換されて差し込み、隠れ家のように落ち着きます。置かれているあれこれも、ひとつひとつに愛を感じる。カオスなんだけどヘブン。まさに秘密基地…!
生物標本のみならず、生きている動物もいます。この日はキンカチョウとハリネズミが在カフェでした。キンカチョウ氏は何かを連打するような音で鳴き続け、その横でハリネズミ氏はほぼお休み、時折むくむくと布団が動くのを眺めるのみでしたがやたら癒されました。生き物パワーすばらしい。
さて、ランチをいただきます。日によってメニューが異なるようですがセットランチが色々、この日はハンバーグやチキンの煮込みなどの肉料理、パスタ数種類にグリーンカレー…と言ったラインナップ。私は「赤ワインの豚の角煮セット」をお願いしました。メインの角煮とご飯、ドリンクがついて1,190円。
嗚呼、光量が足りないと全然頑張れない我がスマホカメラよ。
黒くて何が何やらですが、ホカホカの角煮です。ご飯は雑穀米でした。わーい。食べましょう。うわー、角煮とろとろだ…てか味…味がうまい(語彙力)
デミグラスのようなコクがあり、皿いっぱいの煮汁ももはや煮汁というよりソース。限りなく洋食に近く、しかしギリギリのところでれっきとした角煮という感じもします。半熟の卵を割るとさらにおいしい。
正直、カフェの空間目当てで行ったので、ご飯は普通でも別にいいかな…などと思っていたのですが、これを食べるために再訪したくなるレベルのランチでした。大変失礼しました。
ちなみにドリンクはジンジャエールにしたのですが、大きなオシャンティグラスにたっぷり入っていてとてもよかった。追加でコーヒーをお願いし、心ゆくまでのんびりさせていただきました。
ところで、公式ツイッターを見て知ったのですがこちらのご主人、昼はこの「秘密基地植物園」、夜は川端二条にあるバー「スモークルーム」にいらっしゃるとのこと。実は記念すべき付箋の初回、「スモークルーム」にお伺いしたところお休みで、そこから再訪できていなかったのですが、数年の時を越えて縁が繋がった気がします。
次は「スモークルーム」に行ってみたい。ごちそうさまでした。
秘密基地植物園とカフェバー
https://www.instagram.com/sekaichizuo/
京都市左京区岩倉東宮田町66
定休日:不定休
営業時間:12:05~17:00
後編に続く。