こんにちは。
ながい休眠をいただいて、妖怪が帰ってまいりました。京都のおいしいシュトーレン備忘録、2020年分をお届けします。
2020年のクリスマスシーズンといえばコロナ禍最初の冬、いろいろと神経をすり減らすことの多い日々の中、たくさんのお店が手探りの通販を始めてくださり、どれほど慰められたかわかりません。この場を借りて心より御礼申し上げます。
記事を書いている今は2022年の秋。いまだ大きな変容の渦中にあり、シュトレンを取り巻く状況も刻々と変わっているものと思いますが、そもそも偏愛に満ちた、ごく個人的な感想でございますので、鼻歌を聞くような心持ちでお読みいただければ幸いです。
皆様によいシュトレンとの出会いがありますように。
昨年の分はこちら。
京都のおいしいシュトーレン
カフェ デ コラソン @今出川
御所西エリアの自家焙煎コーヒーが有名なカフェ。市内の指定地域であれば配達もしていただけます。お店に入った瞬間、なんとも言えずよいコーヒーの香りが漂ってきて、冷えた肺があたたまる心地がいたしました。
「シュトレン」
価格:2,000円(税別)
長さ×幅×高さ:16×8×5cm
アーモンドスライスがたっぷり。見た目も歯ごたえもホールとはまた違った魅力がありますね。食感は「ぎゅっとしたパン」。端が香ばしくておいしい。アーモンドプードルも入っていて、噛むたびに味わい深くなる生地です。
ドライフルーツはレーズン&レモンピールですっきりシンプル。周りのコーテイングもおいしい。お店によれば、落ちた砂糖をコーヒーに入れるのもおすすめとのこと。シュトレンとコーヒーの相性はといえば、さすがに抜群でございます。
食べた後もふんわりスパイスの余韻が残っていい気分。毎年ひとつはいただきたい、王道のシュトレンです。
cafe de corazon
https://cafe-de-corazon.com/
ラマルク @今出川
カフェ デ コラソンのほど近くに位置する洋菓子店。周辺は街の中心部ながら落ち着いた雰囲気のところです。イートインもあり、お伺いした日は先客が静かにカフェを楽しんでおられました。
「シュトーレン」
価格:2,200円(税別)
長さ×幅×高さ:15.5×7×4.5cm
砂糖がきれいに一体化しています。今更なのですけど、コーティングがはがれるタイプとはがれないタイプの違いはどこにあるんでしょう。バターの加減なのかしら。ご存知の方がおられたらご教示ください。ちなみに当方はどちらも好きです。
レーズン、オレンジピール、アップルなどのフルーツがみっちり。食感はやわらかめですが、密度が高くて切りやすい。みんな大好きローマジパンも見えますね。お酒は控えめ、スパイスはシナモンと胡椒です。
しっかり甘く、噛み締めるうちに具材のチョコレートが効いてくる。口溶けのよいチョコが大きめのオレンジピールと合わさって、口の中でオランジェット化する瞬間があります。楽しい。
断面もぎっしり賑やか。バニラの香りがふんわりとただよう、パティスリーらしいシュトレンです。
LAMARCK
https://www.instagram.com/lamarckkyoto/
ラ クラシック @出町柳
糺の森のそば、下鴨本通に面した白いファサードの洋菓子店。「オ・グルニエドール」出身のご夫妻のお店としても有名でございます。イートイン限定のグラスデザートも素敵。下鴨神社界隈を訪れた際には、ぜひ立ち寄りたいお店のひとつです。
「シュトーレン 」
価格:3,200円(税別)
長さ×幅×高さ:18.5×14.5×6cm
どっしり大きい。幅も広い。コーティングは切るとぱらっとはがれます。
フルーツはブランデー漬け。グレープフルーツ、オレンジ、クランベリー、いちじく、アプリコットなど種類豊富。グレープフルーツのピールは珍しいですね。後味に爽やかな苦味があっていい塩梅。ドレンチェリー&アンゼリカも入って、クラシックでかわいい雰囲気です。
具材としてのナッツはなし。生地にアーモンドが入っています。焼きは強め、甘さは控えめ。パティスリーのシュトレンとしては珍しく、パン!という雰囲気。無論おいしいパンです。
ほどよい軽さで、朝食にもたっぷり切っていただきました。2021年は大小2つのバリエーションになり、選ぶ楽しみも広がったようです。
La KLASSIQUE
https://www.instagram.com/laklassique/
LAND @神宮丸太町
荒神橋のそば、おれたちのhohoemi跡地を跡地でなくしてくれた素敵なパン屋。だったのですが、当方がうごうごしている間に閉店が発表され、いま猛烈な寂しさとともにこれを書いています。hohoemiのDNA云々はさておき、この場所にLANDがあったことが幸せでした。
閉店は2022年11月末、シュトレンはなくともぜひお訪ねください。概ね行列&売り切れ次第閉店のため、早めのおでかけが吉。看板のベーグルサンドをはじめ、何でもおいしいですが、当方のお気に入りはスコーンです。でっかい愛。
「シュトレン」
長さ×幅×高さ:16.5×9.5×5cm
どっしり大きくて重たい。そして有機全粒粉&発酵バター。食べる前から好きが確定している。全粒粉のパンが好きですし、全粒粉のシュトレンはもっと好きです。
コーティングは薄めで、ぴったりくっついています。スパイスは強め。マスカットレーズン&いちじくは赤ワイン漬けですかね。ホールでごろごろ入ったヘーゼルナッツが香ばしく、生地の風味ともばっちり合っております。ナイス婚姻。
とにかく生地がおいしい。ほろほろっと崩れつつ、全粒粉ならではのざっくりした力強さも感じられます。これぞ滋味。肥沃な大地。ごちそうさまでした。
海外でお店をなさるとのこと、前向きな閉店ですから、言祝ぎがふさわしい。鴨川の似合うおいしいパンたち、それにまつわる記憶をひとつひとつ取り出して反芻しています。ありがとうLAND。ありがとうLANDのシュトレン。どうぞお元気で。さようなら。
LAND
https://www.instagram.com/land_bakery/
お菓子工房 sampo @神宮丸太町
LANDを出て荒神口通を西に進み、河原町通で左折してほどなく現れる、焼き菓子専門店。焼き菓子専門店。この至福の響き。ご店主はフランス・リヨンで修行された方(出典:https://www.mishimaga.com/books/gokinjo/004061.html)とあって、フランスの伝統菓子やタルト、キッシュなどが種類豊富に並んでおります。近年はカヌレがおいしいお店として、その名が更に轟いている模様。
「シュトレン」
価格:1,680円(税込)
長さ×幅×高さ:15×8×3.5cm
サイズが大小あり、こちらは大きい方。端と中のバランスを考える限りにおいては大きい方をおすすめしますが、小さいサイズを作ってくださるのはとてもありがたい。お礼などにちょっと差し上げたり、ちょっと差し上げる体で人にシュトレンをインプリするのに最適です。
砂糖がぴちっときれいにくっついております。スパイスはナツメグのみ、お酒もほとんど感じませんので、苦手な方も食べやすいかと。
生地はみっちり、そしてしっとり。ミルキーでコクがあり、口に入れると溶けるタイプ。マジパンは練り込み式でしょうか。お菓子屋さんらしい甘めの仕上がりですが、オレンジ&レモンピールの存在感が抜群で、爽やかな後味のシュトレンです。
お菓子工房 sampo
https://www.instagram.com/sampo_kyoto/
松 @元田中
今出川通と白川通の交差点をちょろっと西に入った南側のベーカリー。もしかしてパンストリート最東端のお店なのかしら。五山送り火のひとつ、如意ヶ嶽をモチーフにした「大文字」のようなキャッチーなものから、ハード系、お惣菜パンとバラエティー豊富。当方はフーガスをおいしくいただきました。
価格:1,800円(税別)
長さ×幅×高さ:14×13×5.5cm
丸くてどっしり、安定感のある形。コーティングは粉糖+グラニュー糖。端を食べるとグラニュー糖がしゃりしゃりして楽しいタイプです。
ぎゅっとつまったパン生地。中央に大きなマジパンが見えます。ねっとりして美味。表記がないので具材は目視ですが、レーズン、オレンジピール、クランベリーでしょうか。ナッツはなし。スパイスとお酒の主張は控えめです。
シンプルでしっかりおいしい。毎年、シュひとつひとつの個性を楽しみながらいただいておりますが、間にこういった個体が挟まると、ほっとするような心持ちがいたします。緊張と緩和。気さくな実力派。ごちそうさまでした。
松
マンシエール @元田中
「松」から今出川通を数分西に進むと、理想的な「町のパン屋さん」を具現化したようなお店が現れます。大学の近くということもあってか、価格は抑えめでありがたい。ソフト系お惣菜パンからライ麦パン、バインミーなどもあって、あれこれ迷うのも楽しいですね。
長さ×幅×高さ:19×9×6cm
お土産に買ってきてくれた家人によれば、大小あるうちの小さい方。小さい方でこのサイズ!しゅっときれいな成形もすてき。クープの入ったシュトレンは初めて見ました。
薄雪のような砂糖の化粧。甘さはもちろん控えめです。具材はオレンジピール、レーズン、くるみ、アーモンドなど。レーズンはしっとり、ナッツはぎっしりで食べごたえがあって嬉しい。噛み締めるとオレンジがぽーっと香ります。うまい。
周囲はふんわり、中心部はしっとり。とにかく甘さが軽く、フルーツブレッド寄り。ナッツやフルーツの入ったパンは好きだがシュトレンの重さがね…という方も、こちらはきっとお好きなことでしょう。
Manne Ciel
ビジャブエナ @元田中
住宅街の一角に佇む、隠れ家的な焼き菓子店。スペインをイメージされたという内装もかわいい。焼き菓子は正統派からちょっと珍しいものまで揃い、どれも美味なのですが、当方は土日限定で出現するクロワッサンを愛してやみません。
「シュトーレン 」
価格:1,500円(税込)
長さ×幅×高さ:13×9×4cm
見た目も味も個性の際立つシュトレン。コーティングも褐色で、表記によれば甜菜糖とのこと。甘さも控えめな仕上がりです。
ぐーっとバターが染み込んだ生地。フルーツは定番のオレンジ&レーズンのほか、チェリーやパインなど種類豊富。ナッツはくるみ。具材は細かめで生地と一体化しており、口に入れるとほろっと崩れて溶けていきます。
何といってもスパイスの強さが特徴。包みを開ければアニスの香り、そしてカルダモン、シナモン、ナツメグ…etc。本年最もスパイスの存在を感じる逸品で、スパイシーお好きな方には特におすすめでございます。
VILLA BUENA
https://www.instagram.com/villa_buena_kyoto/
カフェコチ/アネ @京都市役所前/烏丸御池
コチは界隈でも指折りの人気店。カフェのような、喫茶店のような…おしゃれでありつつ妙に落ち着く、パンのおいしいブックカフェです。姉妹店のアネはコチから徒歩5分ほどのところにあるベーカリー兼カフェで、現在はコチのパンもアネにて作られているとのこと。
「シュトーレン」
価格:1,500円(税別)
長さ×幅×高さ:12×7.5×4cm
京都のシュトレンといえばここという方も多い、名品のひとつです。
包みをあければふわっとスパイスのいいにおい。食べても上品な塩梅でスパイスを感じます。そしてホールのナッツと洋酒漬けのドライフルーツがぎゅうぎゅうに密集したこの断面よ。うまいでっせの声が聞こえる…(幻聴)
生地はほろほろしたクッキーのような食感。生クリーム入りの豊かなお味。そこにナッツの歯ごたえがあり、フルーツがじゅわっと薫り、時折栗のほくほくとした食感にもぶつかって至福が約束されます。
コチ/アネそれぞれにラッピングが異なりましたが、中身は同じものだと思われます。それぞれの店舗のほか、ANGERSやTODAY’S SPECIAL Kyotoなどで取り扱いがある模様。特にANGERSでは毎年恒例のお楽しみですね。大阪や東京の店舗でも販売されているようなので、お近くの方はぜひ。
CAFE KOCSI & Année
https://www.instagram.com/cafe_kocsi_annee/
仔鹿 @三条
新麸屋町通の路地にあるワインの専門店。といっても気さくで親身、ワインがたくさんある友達の家のような親しみやすさで、近くにあったら間違いなく通ってしまうお店でございます。
「干し柿とカカオのシュトーレン 」
価格:3,300円(税別・ワインとのセット価格)
長さ×幅×高さ:14.5×8×3cm
毎年クリスマスシーズンに販売される、甘口ワインとシュトレンのセットです。シュトレンを作っておられるのはshizuka gohanなので、厳密には大阪のシュトレン、かもしれません。
2020年のワインはオーストラリアの「ラグザレン・マスカット」。まずこのワインがおいしい。ブランデーに似た、すこぶる甘く、とろんと濃く、豊かな香りがする琥珀色の液体。この液体を当妖怪は大変に気に入り、師走に夜な夜なラグザレン舐めと化して、ちびりちびりといただきました。
シュトレンは非常にしっとり、切ると崩れるほろほろの生地。そこにねっちり甘い干し柿、コリコリした食感のカカオニブのつぶつぶ、キラキラとしたフェンネルのアクセント。生地にはたっぷり前述のワインが染み込んでいるとのことで、相性のよさは言わずもがな。まことに美味です。
申し込みはサイトから。店頭受け取りのほか、配送もしていただけます。ワインとシュトレンの組み合わせは毎年変わりますが、どれもきっとおいしいに違いない。ちなみに2021年は「デーツとシナモンのシュトーレン」にオーストリアの貴腐ワイン「クラッハー ツヴァイゲルト アウスレーゼ」だそうです。うはあ。いいなあ。
仔鹿
https://kojika.storeinfo.jp/
ゆすらご @北野白梅町
場所は千本中立売、街中の町屋カフェ。当方はまだお伺いしたことがないのですが、皆様のレポートを拝読しておりますと、座敷と中庭、レトロなしつらいや食器、座布団に看板猫…平日にふらっと立ち寄って、まったりと過ごしてみたいことこの上ない。
2020年は通販をなさっていたので、やや前のめりにお願いいたしました。
「yusurago シュトーレン」
価格:2,300円
長さ×幅×高さ:15×7.5×4.5cm
塩釜のような、真っ白で厚みのあるコーティング。切るとぱかっと外れます。
ナッツ類はハチミツ漬け、ドライフルーツは洋酒漬けとのこと。ハチミツ漬けのナッツはいいものですね。個人的にはかぼちゃの種が嬉しい。ドレンチェリーも入って、どこか懐かしくも華やかな、クリスマスらしい色合いの断面です。
ぐぐっとつまったかための生地。噛み締めるとスパイスの気配がじわっと現れてまいります。マジパンもしっかりとしていて、全体的に食べごたえのある感じ。おいしいなあ。
ご店主が独自にミックスされたというクリスマス音源がおまけとしてついてきてお茶目。シーズンの雰囲気をまるっと楽しませていただきました。
ゆすらご
http://yusurago.blogspot.com/
梅園 oyatsu @京都駅
四角いみたらし団子が看板、1927年創業の甘味処。文句なしの老舗ですが、地元では「ちょっと新しめのとこ」と思われているフシがあります。京都あるある。近年はカフェなど新しい業態の店舗も増え、いつも賑わっている人気店です。
「和菓子屋さんのシュトーレン」
価格:1,280円(税込)
長さ×幅×高さ:11.5×4.5×5cm
シュトレンはJR京都伊勢丹B1Fの梅園 oyatsuとオンラインショップでの販売。詳しくはインスタアカウントでご確認を。柊リースの箔が押された赤い箱入りで、プレゼントにも大変よろしいでしょう。
品名は「和菓子屋さんのシュトーレン」ですが、箱の裏には「蒸し焼きあんケーキ(シュトーレン )棹」と表記されていました。棹。棹か。そうだな。
ベースは豆、おまけに発酵してないとあって、これをシュトレンと呼ぶかどうかは意見の分かれるところかと思います。個人的にはひとつのローカライズの形として、ありかなと考える次第。
しっとりしたパウンドケーキのような生地。食感はほくほくしていて、あんこが入っている気配を感じます。シュトレンと言われればシュトレン、和菓子と言われれば和菓子。この絶妙なハイブリッド感。
ほどよいスパイスに爽やかな柑橘の香り。ナッツはカシューナッツ、フルーツはレーズンとクランベリー。お酒の存在感がしっかりあって大人向きです。おいしい。緑茶といただきましたが、日本酒と合わせるのもよい気がいたします。
梅園 oyatsu
https://umezono-kyoto.com/oyatsu/
———- 余談ここから ———-
シュトレンが市民権を得るにともない、「シュトレン味」「シュトレンフレーバー」などと冠された謎の派生商品があまた現れ、気が散る、いや気にはなるもののきりがないので、一律にスルーを課していたのですが(そもそもシュトレン味とはなにか?)、唯一我慢しきれずに買ったものとしてBlue Bottle Coffeeの「ホリデー羊羹」があります。
元々、Blue Bottle Coffeeには都松庵と一緒に作られたという「ブルーボトル羊羹」「ブルーボトル羊羹 抹茶」という2種類の定番商品が存在します。それぞれドライフルーツやナッツが練り込まれ、スパイスやハーブの効いた現代的な羊羹なのですけど、「ホリデー羊羹」はその季節限定版、ずばりシュトレンをテーマに製作されたもの。
原材料を拝見しますと白あんにカレンツ、オレンジ、いちじく、くるみのプラリネ(!)、そしてラム酒とシナモン、ダメ押しのバター。これがねえ、シュトレン好きホイホイといいますか、実においしいんでございますわ。
2021年の限定羊羹は「テリーヌ ショコラ」で、どうやら2020年の限定品だったようです。残念。ぜひ再販をご検討いただきたい。定番の2品も大変よいお味ですので、機会があればご賞味ください。
———- 余談ここまで ———-
ブーランジュリー リベルテ 京都寺町本店 @京都市役所前
2018年にリベルテ・パティスリー・ブーランジェリー 京都店ができたことにより呼び分けが必要になったリベルテ。こちらは寺町二条のリベルテさんです。
周辺は街中でありつつも喧騒からは少し離れていて、ぶらぶら歩くのが楽しい界隈。一保堂の本店や村上開新堂もすぐ近く。パンはなんでもおいしいですが、まずはクロワッサンがおすすめでございます。
価格:2,500円(税込)
長さ×幅×高さ:18×12×7cm
このきれいな山!かっこいい。ぎゅっと締まったパン生地で、切るのにぐっと力がいります。おお充実の気配よ。わりと長く寝てもらいましたが、砂糖が真っ白のままだったのも印象的でした。食べるときに粉糖がファサッと落ち、グラニュー糖の軽快なシャリシャリが残ります。
マジパンが端までみっちり。わあいわあい。表記がないので、その他の具材は目視で確認…のはずが、なんせファサッの粉糖にまみれちゃってですね。もともと舌の判別能力があやしいというのに。ファサッと。レーズンとアンゼリカは見えたような気がする。たぶん。申し訳ない。
スパイスは食べると効いております。お酒の気配はそれほど感じません。満足感はあれど、後味はあっさりしていて食べやすい。パン屋さんのシュトレンだなあとしみじみ思う、クラシックで端正なシュトレンです。
Boulangerie Liberte’ 京都寺町本店
https://liberte-kyoto.com/store
ドットエス @東山
「スマート」の販売拠点に併設されたコーヒースタンド。おしゃれで明るく開放感のある、気持ちのよいカフェです。
元々、某八方美人がひっそり受け継がれていると小耳に挟んでお伺いしたのですけれど、現在はリニューアルなさって「.Sタルト」というお名前になっております。こちらもおいしい。
「シュトレン」
価格:2,000円(税込)
長さ×幅×高さ:11×8.5×6cm(ハーフ)
しっかりかたいシュトレン。ざくっと小気味よい音がして、薄く切れます。
特筆すべきはくるみの量。くるみぎっしり。ナッツではくるみがいっとう好きな当方、切っては欣喜し、食べては雀躍し、よろこびに忙しく堪能しました。
オーガニックのドライフルーツはレーズン、クランベリー、いちじく、アプリコット…でしょうか。大きめカットで嬉しい。生地はほんのつなぎ程度、具材がみっちりつまっております。ぐぬぬ。おいしいぞ。
来年は奮発してホールを…と意気込んでおりましたところ、2021年からはお手頃小ぶりサイズのワンサイズ展開になった模様。周辺は平安神宮や動物園、美術館など散策にもよいエリアですので、お出かけがてら獲得なさってはいかがでしょうか。
.S
https://www.instagram.com/dot.s_coffee/
吉田パン工房 @松ヶ崎
2018年オープン、金土日のみ営業。長らく卸専門だったベーカリーの一般向け実店舗です。食事に伺ったお店のメニューに「バゲットは吉田パン」などとあれば、アッ…おいしいやつだ…となる存在。
2020年のシュトレンは通販のみの販売。(2021年は通販を継続しつつ、お店での販売も再開)しっかりした赤箱に納められ、レターパックでしゅっとやってきました。
「シュトーレン」
価格:2,300円(税・送料込)
長さ×幅×高さ:13×7×4.5cm
食べきりやすい小さめサイズ。きらきら輝くグラニュー糖の層から、うっすらと生地の茶色が透けております。美。
マジパンの入った生地に、ワイン漬けのフルーツとナッツ。どちらかといえばふわっとした食感なのですが、周囲はぎゅーーーっとバターが染み込んでしっとり。小ぶりな外見にどっしりした生地、繊細な技のように駆け抜けるスパイス。小兵力士とでも呼ばせていただきたい存在感です。きらきら輝く小兵力士。いいですね。
予約はお電話、通販の申し込みはメールにて受付。詳しくはお店のインスタアカウントにてご確認ください。
吉田パン工房
https://www.instagram.com/yoshidapan.kyoto/
パティスリーミムラ @北大路
ブログを休んでいる間にも、SNSで皆さんのシュトレンを眺めたり、お店のお知らせを確認したりしており、こちらはTwitterにて通販の情報を得ました。実店舗は北区紫竹。紫竹エリアは本当にパンやお菓子のお店が充実しておりますね。
「ショコラシュトーレン」
価格:2,000円(税込)
長さ×幅×高さ:22.5×4×7cm
本年唯一のショコラシュトレン。シュッと細長い、ケイクのような形です。
ねっちりとした質感、口で溶けるショコラ生地にココアのマジパン、ダメ押しのチョコチップ。オレンジピールとの相性はさすがです。ダイスアーモンドの香ばしさと食感もいい感じ。いちじくはペースト状で、こちらも生地の濃さに貢献しているように思います。
とにかく甘い。ごりごりに甘くておいしい。少量で大変満足します。濃い目に入れたコーヒーといただきましたが、きっとブランデーとも相性がよろしいでしょう。ごちそうさまでした。
Pâtisserie Mimura
https://patisserie-mimura.jp/shop/
カッシーニ @神宮丸太町
左京区は聖護院、熊野神社近くのパン店。ちょっとした病を得て(おかげさまで一旦落ち着きました)、しばらく京大病院に通っていたのですが、通院中のお楽しみ、かつ心の拠り所がこちらのお店でございました。
午後には売り切れて閉まっていることが多いので、午前中なるべく早くの来訪がおすすめ。当方のお気に入りはひじきのフーガス。フーガス大好き。
「シュトーレン 」
価格:1,500円(税込)
長さ×幅×高さ:17.5×8×5cm
ほんのりラフな雰囲気がすてき。包みを開けると甘い香りがふんわり漂います。わくわく。
コーティングは切るとはがれるタイプ。フルーツはレーズン、オレンジピール、いちじく、ナッツはクルミとアーモンド。いちじくが大きめで嬉しいですね。
端はカリッと香ばしく、中はしっとり。生地が抜群においしい。シンプルで飾らない雰囲気なのに、一度食べると忘れがたい魔力のある逸品です。
cassini
https://www.instagram.com/cassini_kyoto/
以上、2020年のシュトレン備忘録でした。京都のシュトレンは19個いただいて、うち17個をご紹介できました。来年もよい出会いがありますように。
シュトレン STOLLEN 改訂増補版 ドイツ生まれの発酵菓子、その背景と技術
シュトレン編集委員会/旭屋出版
一家に一冊。
大阪神戸京都 パン地図本
京阪神エルマガジン社
京阪神パン屋巡りのお供にどうぞ。